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新世紀ルーツへの巡礼

目次

広い原っぱへ、基礎固めの時

不思議な出来事、不思議な会計

天使

1921年から1930年にかけて、アルベリオーネ神父は、修道院、聖堂、倉庫、レンガ焼きのかまどなど建物の建築にいとまのない日々でした。そのため、お金はいくらあっても十分ということはなく、いつでも必要でした。

「外見は貧しく、弱々しく見えるこの人は、いったいどのようにして経費をまかなっているのだろうか」と、アルバの人々はうわさしていました。

アルベリオーネ神父は、神との契約の中で、神の摂理に絶対的な信頼を寄せ、「神さまに協力する事業なのだから、精一杯力を果たせば、神は必ず助けてくださる」という信仰で使徒職を発展させていきました。

ちょうど支払いが迫っている時、1人の人が現れ、大金を寄付して下さることもありました

ある日、会計係が院長であるアルベリオーネ神父に何かの許可を願いに行ったところ、何か話し声が聞こえてきました。あとでアルベリオーネ神父は、彼にこう言ったのです。

「実は、2人のお客さんが来たのです。
最初のお客さんが借金を、『今すぐ返してほしい』と言ってどなっている時、もう1人のお客さんが来て、1万リラを寄付して下さったのです。それで右から左に、いただいたお金を先のお客に渡したら、彼は喜んで帰って行ったのです。」

また、こんなこともありました。

ある日、印刷用の紙の代金として5千リラを支払ってほしいと請求にきました。会計係は、現金がなかったので、「銀行に行くからもう1日待ってほしい」と頼み、外に出ようとしたその時、玄関のドアが開き、1人の見知らぬ農家の人が入ってきました。そして、1枚の紙切れを会計係にさし出し、「このような人はいますか」と尋ねたのです。

その紙切れには会計係の名前が書かれてありました。「はい、私です」この男性は、ポケットから何か取り出し、「この封筒は、あなた宛のものですが」と言いました。

「返事を出さねばなりませんか」と会計係が聞くと、「いいえ、カステルナンドの主任司祭、マキシオン神父がここに来るでしょう」と言って、この男性は立ち去ったのです。会計係が封筒を開けて見ると、ちょうど5千リラが入っていました。彼は、これで借金をすぐ支払うことができました。

もうひとつのエピソードは、印刷工場の建設代金として5万リラを支払わねばならない時でした。

会計係が銀行へ行く途中、銀行の近くで郵便を配達する人に会い、会計係宛の一通の書留を受け取りました。開けてみると、5万リラの小切手が入っていたのです。会計係は、すぐに銀行で建設代金の支払いの手続きをしました。

アルバ修道院の大聖堂建築の最中、労働者に賃金を支払わねばならなくなった時、アルベリオーネ神父は、ローマに出張中でした

会計係は、金庫はほぼ何もなかったため、どうしようかと困り果てていました。建築主任は、会計係に、「社員に給料を払えないような会社は、倒産しますよ。」ときつく言ったのでした。

彼は、守護の天使に祈りをしました。すると心の中に次の勧めを聞きました。「ロケッタのサリエッタさんのところへ」と。

会計係は、どこか知らなかったのですが、サリエッタ夫妻の名前は聞いたことがありました。しばらく考えてから、彼はそこに行く決心をしました。

汽車と自動車でロケッタに着きました。人に聞きながらやっとサリエッタ夫妻の家をさがしあてました、サリエッタ夫妻は会計係に、「何のため、ここにいらっしゃいましたか」と尋ねました。
彼は「私はアルバの聖パウロ会修道院にいますが、そこで今、私たちは聖堂を建てています。そこで、労働者に給料を払わねばならないのですが、お金がありません。守護の天使の祈りを何回かとなえている時、あなた方の所へ伺う気になったのです。」

サリエッタ夫妻は、互いに顔を見合わせて、「どれだけ必要なのですか」と尋ねました。彼は、「与えていただけるだけ、いくらでも」と答えたのでした。

彼らはお金を貸してくださり、それで労働者への給料を支払うことができたうえ、なお1万リラほど余りました。

聖ヨセフご像

この会計係とは、アルバの広い土地を購入した時、アルベリオーネ神父がもっと整理された経営管理の必要を感じ、無期限に会計係に任命した若いジャッカルド神父です。

会計係のジャッカルド神父は、保護者であり摂理の聖人である聖ヨセフへの信心を、とても大切にしていました。小さな聖ヨセフの御像を机の上に置き、そのご像の下に請求書を差し入れながら、ジャッカルド神父は、「これについては、あなたが考えてくださらなければ、うまくいきませんよ」と祈っていました。

彼のもとにとどけられる請求書の数はおびただしく、それにひきかえ、支払うために引き出すことのできるお金は、非常に限られていたのです。

この信心家の願いに、聖ヨセフはよく答えてくれました。1926年、この会計係の任を後にしてローマに出発する時、ジャッカルド神父は、このヨセフのご像を後継者にゆずって、大切にするようにいいました。そこからも、どれほど聖ヨセフに助けられたかが伺いしれます。

このご像は、代々会計係の手に伝えられ、1969年まで、アルバ共同体の会計室に欠くことのできない約束事になっていたほどでした。


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