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新世紀ルーツへの巡礼

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平和のないクリスマス

「印刷所で火事が……」

ケラスコの畑道
ケラスコの畑道

1918年のクリスマスでした。

真夜中のミサのあと、みんなが休みに行ってからポレンタを作るのが習慣になっていましたが、アルベリオーネ神父様は、1人の少年をわたしと母の手伝いによこしてくださいました。

そして、まだみんなが眠ったばかりのとき、5分くらい離れた所にあった印刷所の門番の人が来て、道から叫びました。大門が閉まっていて、階段から上ってくることができなかったからです。

アルベリオーネ神父様だけがそれを聞きつけ、スータンをひっかけ、少年たちの寝室の方に「火事だ!」と叫ぶなり、飛び出していかれました。

みんな起きて、火事はどこだかわからず、ともかくアルベリオーネ神父様のスータンがまだ階段に見えたので、大きな少年たちがすぐあとに続きました。
 小さな子どもはこわくてふるえながら、うろうろと聖堂に集まってきました。

アルベリオーネ神父様は、いちばん年長の少年たちといっしょに火の出た所に着き、祝福を唱えてまっ先に飛び込まれました。少年たちも続きました。

アルベリオーネ神父様は、3度も気を失いかけながら、やっと1枚のガラスを破って息をなさることができたそうです。火はすでに活字を溶かし、アンチモニーのにおいと煙で窒息しそうだったのです。

その日の夕方は、ミサの前まで印刷所で働いていて、ストーブのおがくずから紙を遠ざけてあるかどうか見回らなかったのです。それが燃えきったあと、近くの紙に火の粉が飛んで火事の原因になりました。

朝、いつものように母と私が入っていったとき、アルベリオーネ神父様は、まだ入り口のソファーで休んでいらっしゃいました。

そのころは、まだ神学校に通っておられて、この家にアルベリオーネ神父様のベッドはなかったのです。

アルベリオーネ神父様は、レモンのような黄色い顔をしていらっしゃいました。そして驚いたことに、こうおっしゃいました。

「昨夜、幼きイエスがわたしにコンフェッティ(さとうがし)を持って来てくださいました。満足そうにほほえんでいらっしゃいました」と。その日は、外出なさいませんでした。
 1日じゅう少年たちにとり巻かれ、まるで子どもたちの中にいらっしゃるイエスのように見えたものです。


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