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なるほど! 社会教説 “しろはた”

第13回:優先的選択

<第1部、第4章、3 c 財貨が万人のためにあるという原理と貧しい人のための優先的愛(182)。第2部、第9章、4 b 貧困との戦い(449)>

 「優先的選択」という、聞きなれないけれども非常に重要な考え方について説明したいと思います。これは貧しい人あるいは社会的弱者を優先すべきだという考え方です。つまり、公平、公正な社会のためには、弱者を優先することが重要だというわけです。一見、弱者を優先することは、公平、公正と矛盾するように思えます。弱者を優先することは、一般的な人にとっては逆差別になるのでは。強者であろうと弱者であろうと、平等であってこそ、公平、公正な社会なのではないか、と。

 しかし、考えてみてください。お店にたくさん食料品が売られているからといって、お金のない人が生きていくことができますか?学校があるからといって、貧しい人が勉学に打ち込むことができますか?歩道橋があるからといって、お年寄りや体の不自由な方が、それを渡ることができますか?わたしにとって当たり前であるために、それが当たり前でない人のことを気に留めることなく生きてはいませんか?お金のある人、健康な人を主な構成員として設定している現実の社会は、弱者にとってあまりにも不公平です。そもそも平等ではないのに、それを放置したままでは、公平、公正な社会など実現しません。だから、弱者への優先的配慮が求められるのです。


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