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なるほど! 社会教説 “しろはた”

第21回:経済(1)

<第7章 経済生活、2 道徳と経済>

 人間の行動は、その尊厳にふさわしいものでなければなりません。それについて論ずるのが、道徳もしくは倫理です。道徳的に正しいとは、その行動が人間の尊厳に適っている、ということです。経済活動も、まぎれもなく人間の行動ですから、人間の尊厳に適うものでなければなりません。行為そのものが人間の尊厳にふさわしくない経済活動があります。たとえば、麻薬の売買は確かに経済活動ではありますが、その行為そのものが人間の尊厳に反しています。「買う人がいるから売る。何が悪い。これはビジネスだ。」と言ってもとおりません。また、その行為がもたらす結果が人間の尊厳を傷つける経済活動もあります。たとえば、投資するという行為そのものは決して悪いことではありませんが、その投資された資金が戦争や環境破壊などにつぎ込まれ、その結果、それに巻き込まれた人々の生命が奪われ、危機にさらされているとすれば、この場合の投資という行為は人間の尊厳を傷つけているといえます。「投資の目的は利益だ。慈善活動のために寄付したのでない。」と言ったからといって、その責任から逃れられることにはなりません。

 生産から消費に至るまで、経済活動は人間の倫理的行為です。わたしたち一人ひとりは明らかに経済活動に参加しているのですから、その倫理性につねに関心を払わなければなりません。


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