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なるほど! 社会教説 “しろはた”

第24回:経済(4)

<第7章 経済生活、4 人間のための経済制度>

 「風が吹けば桶屋が儲かる」ではありませんが、経済活動においては、誰かの損失が別の誰かの利益になるということが起こります。わたしの故郷、五島はしばしば台風被害に遭遇しますが、その被害があまりにも深刻で、島全体が意気消沈してしまうこともありました。そんな中で、建築資材の高騰に目をつけて、投資をする人もいるでしょう。被害者にしてみれば、不愉快なことです。養殖ブリが逃げてしまって、大きな損失を受けた漁業者もいました。その一方で、思わぬブリ大漁のニュースがテレビで流れていました。養殖漁業者にとっては、やりきれない思いだったことでしょう。さらに、その年の正月用の養殖ブリの価格は高騰しました。売る魚を持たない五島の養殖業者にとっては、つらい正月となりました。

 経済にはこのような側面があるので、儲けるという行為には、何かしら後ろめたいイメージが付きまといます。しかし、真の経済発展は、互恵関係の中にこそあり、その中には、リスクを分かち合うことも含まれるのです。行政、企業、消費者が、それぞれの立場で人間のための経済制度を追求することが重要です。



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