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信仰の挑戦 … 女子パウロ会 各国創設記

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第15回 日本の創設
        「あなたたちの内的生活のために、祝福を与えます」


1946年の秋のこと、ローマの修道院では、近いうちに東洋へ行く姉妹たちについての話でもちきりでした。期待と希望がいっぱいです。聖パウロ修道会と聖パウロ女子修道会の宣教師と宣教女が外国から休暇のために、イタリアに戻って来ます。このとき、魅力ある宣教地日本からパウロ・マルチェリーノ神父が戻って来ました。日本について話をすると皆 感動して聞き、日本に行くことを考える姉妹が多くなりました。彼は日本人の特徴や習慣、道徳的な状態などを熱心に語り、最後に、わたしは聖パウロ女子修道会のシスターなしには日本に戻らない。少なくともすぐに4人、続いて後4人、と話を結びました。加えて「あなたがたは、イタリアと同じようにすべての国に増やさなければならない。書院を開き、プロパガンをして福音を知らせる必要がある」と語りました。

1947年1月1日、日曜日に日本のための祈りと研修会を行い、パウロ神父様はわたしたちの共同体のために、朝のミサの説教と午後の講話をしてくださいました。テーマは日本における宣教活動の諸問題でした。

夕食後にプリマ・マエストラは、日本に行くために選ばれた4人の姉妹の名前を発表しました。シスター マリア・イレネ・コンティ (院長として)、シスターマリア・パルミラ・ベルナルディーニ、シスターロレンチーナ・ノタ、シスターヴィンチェンツア・プレストフィリッポ。最後の二人はこのときまだ修練者でした。

日本  
左から、Sr.ヴィンチェンツァ、Sr.マリア・パルミラ、
Sr.マリア・イレネ、Sr.ロレンチーナ・ノタ
 

出発はしばらくできませんでした。極東行きの交通手段がまだなかったために、直接日本に行くことはできず、アメリカ合衆国経由となりました。

出発の直前にピオ12世教皇の謁見が行われ、4人の中の一人は「教皇聖下、宣教女として日本に行く予定ですが言語、文化、習慣など、まだ何も分かりませんが祝福を与えてください」と申し上げました。教皇様は大きく腕を開き、微笑みながら答えました。「日本へ! 日本へ! うれしく思います! 心から祝福します! 特別に祝福をします! すべての必要なことのため、ことばの問題のため、召し出しのために!」。

奉献生活のために、霊的な記念に特別な祝福を願いました。教皇様はやさしい眼差しで「はい、あなたたちの活動、使徒職、内的な生活、内的な生活! あなたたちの内的な生活のために特別な祝福を与えます!」そして一人ひとりのシスターとあいさつを交わし、皆に向かって、「あなたたちの内的生活のため特別な祝福を与えます」とおっしゃいました。4人の姉妹たちはそのときの教皇様の視線、ことば、祝福を忘れられない宝物として心に深く刻みました。

ニューヨークの修道院の姉妹たちの温かい歓迎を受け、9か月間、日本行きを首を長くして待ちながら滞在しました。待つ時間は長かったのですが、準備のためには実り多いときとなりました。

1948年1月初旬、日本に行く三人の姉妹はニューヨークからサンフランシスコ経由でフィリピン行きの船で出発し、1948年2月にリパ市に上陸しました。

7月、マエストラ・エレナ・ラモンデッティと一緒に日本に向かいました。船は上海に寄港しました。聖パウロ修道会の神父様たちが港に来てくださり、町を案内してくださいました。

宣教女の日記から—

上海から日本までの間、皆元気で、船酔いもせず、比較的短く感じました。

8月7日、朝早く横浜港に入りました。宣教師たちは朝早くミサをたてました。ミサ終了の後、わたしたちの第二の故郷となる地が見えてきました。

前もってパウロ神父様にわたしたちの旅程を送っていたので、彼は船まで迎えに来てくださいました。「やっと、やっと、やっと!」。お互いにこのことばを交わしながら感謝と喜びでいっぱいになり、すべての不安は消えてしまいました。ドキドキしながら車から降り、わたしたちの宣教の目的地に着いたことを実感しました。家は日本家屋で、きれいな庭に小さな池がありました。まるで夢を見ているような体験でした。

玄関に着くと、パウロ神父様に頼まれて家の中を整えてくださっていた女の子が迎えてくれました。彼女のあいさつと微笑みは宝物のようでした。ことばはもちろん分かりませんでしたが、おじぎと微笑みは、ことばの意味を分かるように伝えてくれるものでした。

午後3時ころに、品の良いご夫婦が炊きたてのご飯の入ったおひつをもって訪ねて来られました。ご主人は何回もおじぎをしながら英語で「よくいらっしゃいました。長い間お待ちしていました。あなたがたの宣教活動のため喜んで祈っています。おめでとうございます」とあいさつされました。この温かいことばは、わたしたちへのすばらしい贈物でした。


自分の貧しさを分かち合うことができないほど貧しい人はいない

親愛なるマエストラ・マリア・クレオファ(フィリピン)

1955年7月4日 ローマ

主はわたしたちの善意を示すためにいろいろなチャンスを与えてくださいます。お願いがあります。東京のマエストラ・マリア・イレネに少しお金を貸してあげたいのですが、送ることができますか。神戸で書院を開く予定ですが、金銭的に今困難のようです。あなたたちはどこからか借りることができるでしょうか。後で神戸の共同体から返済します。こちらでわたしたちは借金だらけです。神戸の姉妹たちのため何もして差し上げられないことは残念です。

あなたがたは、皆元気ですか? いつもあなたがたを思い出し、祈っています。喜んで、穏やかでありなさい。今月の6日に始まるマエストラたちの黙想会のために祈ってください。わたしたちは一歩前進しなければなりません。皆さまによろしく。

愛をこめて  マエストラ・テクラより



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