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聖パウロの回心

聖パウロの回心

ダマスコへの道で

ここで、宣教のためにとても大きな影響をもつ、1つの不思議な出来事を話さなければなりません。

 ステファノが殉教したとき、人びとの上着の番をしていた、あのサウロという若者のことです。サウロは、だれよりも熱心な迫害者になりました。エルサレムの中はもちろん、イエスの弟子がいると聞けば、どこへでも出かけていって、男も女も捕らえるつもりでした。迫害者サウロの名は、主の弟子たちの耳に悪魔のように響きました。

今、サウロは、シリアのダマスコの町にイエスの弟子が大勢いることを耳にしました。彼はさっそく大祭司から委任状をもらって、ダマスコに駆けつけることにしたのです。


ダマスコは、エルサレムから北へ230キロほど下った、アバナ川のほとりの町です。昔から、たくさんのユダヤ人が住んでいて、りっぱなユダヤ教の会堂もありました。砂漠のはしにある美しいオアシスで、昼は気温が45度にも上り夜は超えるような砂漠の道を進んで、この美しいオアシスに到着する人は、それこそ生き返るような思いがするでしょう。

この出来事は、正確にはいつのことだったのでしょうか。
イエスの死と復活を紀元30年の春のこととすると、ステファノの殉教とサウロの回心は36年ごろではないかといわれています。

サウロは、数人の部下を連れてエルサレムを出発し、1週間ほどの旅ののち、目指すダマスコを目前にしました。さばくの太陽は高く昇り、ちょうど真昼のことで、うだるような暑さが一行をヘトヘトにさせていました。

突然、天からの強烈な光がサウロを地にたたきつけたのです。彼は倒れながら、自分に呼びかける力強い声を聞きました。

「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか。」
おどろいてサウロは答えます。
「主よ、あなたはどなたですか。」
すると、声はいいました。
「わたしは、おまえが迫害しているイエスだ。」
おどろきから覚めるまもなく、サウロは重ねて尋ねました。
「主よ、わたしはどうすればよいのですか。」
「起き上がってダマスコに入りなさい。そこで、おまえがしなければならないことは告げられる。」

サウロは立ち上がりました。しかし、なにも見えません。あの強烈な光の中に現れたかた姿が、サウロの目を射つぶしてしまったのです。手さぐりするサウロに、仲間があわてて手をかしました。かれらは、光を見、なにものかの声を聞いたのに、その言葉は理解できなかったので、なにごとが起きたのかと、ただウロウロするばかりでした。

こうして、ともかくサウロは人びとに手を引かれて、盲目の身を定められた宿におちつけたのです。彼は、断食し、一心に祈りながら自分の身に起こったことを考え続けました。

アナニアから洗礼を受ける

そのように確信して、まっしぐらにダマスコへ向かっていたこの若者には、悪いことをしているという気持ちは全くなかったのです。「神ため!」

そこへ、まったく思いがけないダマスコ途上での出来事でした。彼は、イエスご自身には会ったこともなく、ただその弟子を迫害していました。それなのに、あの光のなかに現れた方は、「なぜ、わたしを迫害するのか」と言われたのです。

 イエスは生きている!
 自分は復活のイエスを見た!
 イエスは主(神)である!
 そしてイエスと弟子とは一つなのだ!
 あの瞬間にサウロが確信したことは、もう絶対のものでした。なにがあっても取り消すことのできない、体験なのです。見てしまったのです。

サウロはダマスコのユダという人の家で、三日の間じっと祈っていました。「おまえがしなければならないことは、そこで告げられる」と言われたからです。

ダマスコの主の弟子のなかにアナニアという人がいました。イエスはまぼろしの中で、この人に声をかけられました。

「アナニア。」
「はい、主よ。」
「立って、『まっすぐ』という道に出て、ユダの家にいるタルソスのサウロという人を訪ねなさい。彼は祈っている。」

アナニアは驚き、不安になりました。サウロのことは恐ろしい迫害者として聞いていたからです。

「主よ、その人がエルサレムで主の弟子たちにどんなことをしたか、わたしは多くの人から聞きました。ここにも、そのために来たといわれています。」
 すると、主は言われました。
 「さあ、行きなさい。わたしはイスラエルの民だけでなく、ほかの民にも、王たちにも、わたしの名を告げ知らせる証人として、あの男を選んだのだ。あの男はわたしのために、多くの苦しみをしのぶだろう。」

ちょうどその同じとき、サウロも一つのまぼろしを見ていました。アナニアという人が入ってきて、自分の目をふたたび見えるようにしてくれる、というまぼろしでした。

アナニアはもう恐れませんでした。すぐ立ち上がってサウロを訪ねていきました。そして、サウロの頭に手をおいて言いました。
 「兄弟サウロ、あなたが来る途中で現れてくださった主イエスが、わたしをつかわされたのです。あなたが再び見えるようになって、聖霊をいただくために。」
 たちまちサウロの目からうろこのようなものが落ちて、またはっきりと見えるようになりました。サウロはアナニアから洗礼を授けてもらいました。


それから数日の間、サウロは、アナニアやほかの弟子たちと一緒にいて、つぎの安息日が来ると、さっそくユダヤ教の会堂に出かけていきました。そして、どうどうと宣教をはじめたのです。


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