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聖霊講座

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第4回 イエスが約束した“聖霊”

 

マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書の次に、使徒言行録という書物があります。この著者は、ルカ福音書を書いたルカです。彼は、第一巻のルカ福音書を「イエスが行い、また教え始めてから、お選びになった使徒たちに聖霊を通して指図を与え、天に上げられた日までのすべてのことについて書いた」と、使徒言行録の冒頭で述べています。

第2巻である使徒言行録は、復活したイエスが使徒たちに現れ、聖霊を約束するところから始まります。つまり、イエスが亡くなった後の使徒たちの時代は、聖霊によって始まるのです。旧約の時代、指導者や民を導いたのは父なる神でした。新約の時代は、イエスが導きました。そして、イエス亡き後は、聖霊が使徒たちを導きます。

 「イエスは苦難を受けた後、ご自分が生きていることを、数多くの証拠をもって使徒たちに示し、40日にわたって彼らに現れ、神の国について話された。そして、彼らと食事をともにしていたとき、こう命じられた。」  『エルサレムを離れず、前にわたしから聞いた、父の約束されたものを待ちなさい。ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられるからである。』
 さらに、
「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリア全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」                           (使徒言行録1.3~5)
と言い、天に昇っていきます。

ルカによると、イエスが約束された聖霊は、福音を宣べ伝える使徒たちに力を与えます。

イエスが聖霊を約束した、もう一つの場面があります。それはヨハネ福音に出てきます。

ヨハネ福音書で語られる聖霊の約束の場面は、ルカとは違います。それは、イエスが亡くなる直前です。
 イエスは、過越祭の前に自分の死の時が来たことを悟り、愛する弟子たちに遺言のように話されます。「わたしが愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」と、新しい掟を与えます。しかしイエスは、この愛してやまない弟子たちが、ご自分を裏切ることも、知っておられました。

また、イエスの態度から、別離の時を感じて動揺する弟子たちに、「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、わたしを信じなさい」と力づけます。にもかかわらず、弟子たちは、まだイエスの真の姿が分かっていません。
 「父を見せてください」というフィリポに言います。

「フィリポ、こんなに長い間一緒にいるのに、私が分かっていないのか。
わたしを見た者は、父を見たのだ。
なぜ、『わたしたちに御父をお示しください』と言うのか。
わたしが父の内におり、父がわたしの内におられることを、信じないのか。」
                          (ヨハネ14.9~10)
 

イエスがどんなにがっかりしたことか……。イエスの嘆きが伝わってきます。このように、自分の心を分かっていない弟子たちを残して、イエスは彼らから去らなくてはならなかったのです。しかし、イエスは、自分が去っていくことはよいことだと言います。なぜなら、イエスが父のもとに行くことによって、聖霊が送られるからです。

あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る。
わたしは父にお願いしよう。
父は、別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。
この方は、真理の霊である。
世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることができない。
しかし、あなたがたはこの霊を知っている。
この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである。
                          (ヨハネ14.15~17)

わたしは、あなたがたといたときに、これらのことを話した。
しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、
あなたがたにすべてのことを教え、
わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。
                          (ヨハネ14.25~26)
 

ヨハネ福音書のこの箇所を読むと、父である神とも、子であるイエスとも、まったく区別して第3者として、聖霊との関係を語っています。

弁護者は、原語のギリシャ語では「パラクレートス」。もともとは法廷で弁護する人を意味します。助言者、仲介者、相談役、支持者、保護者などの意味です。迫害され、苦しい立場に立たされたキリスト者たちが、聖霊の助けを受けて、どんな雄弁な言葉も反論できない真理の言葉を語ることができる、というイエスの約束です。

 実を言うと、わたしが去って行くのは、あなたがたのためになる。わたしが去っていかなければ、弁護者はあなたがたのところに来ないからである。わたしが行けば、弁護者をあなたがたのところに送る。その方が来れば、罪について、義について、また、裁きについて、世の誤りを明らかにする。
                            (ヨハネ16.7~8)
 

ヨハネ福音書が成立した時代、ヨハネ共同体というまとまりができ、彼らは世間と対立していました。

このように、イエスが約束された聖霊の働きは、ルカとヨハネではまったく違うのです。しかし、そのどちらも聖霊の働きです。

 
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