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シスターテクラ・メルロ

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第4回 信仰と勇気に満ちたスタート

アルバで、テレサは、熱心なカテキスタ(要理を教える人)であるアンジェラ・ボッフィ嬢のもとに身を寄せ、数年の間、良書出版の理想を共に分かちあっていました。事務員だったアンジェラはほとんど毎日家を留守にしていたため、未来の聖パウロの娘の中心はテレサでした。主なことは、縫製作業場の仕事を指揮することでした。

裁縫作業所で働いていた女性たち
裁縫作業所で働いていた女性たち
前列中央がアンジェラ・ボッフィ、その左がテクラ・メルロ

当時は第一次世界大戦が勃発したばかりで、彼女たちは特に兵士たちの下着を縫っていたのです。裁縫の仕事ではテレサも専門家でしたが、ここでは別の精神をもってその仕事を果たしてゆかねばなりませんでした。事実、アルベリオーネ神父は司教に次のように書いています。「縫製作業場は、女性的仕事を教えること、善良で教養のあるカテキスタを養成することという目的を持っております」と。またこうも付け加えています。「前述の作業場の目的の一つである宣教活動を実践するため、また、印刷学校では実施できない店頭販売を望んでいるため、書物と宗教用品を扱う小さな店でもあります」と。

この小さな売店は、後に聖パウロの娘たちがイタリーや外国の諸都市で開設することになる数多くの書院の胚芽であり、テレサは、裁縫師であると同時に、パウロ出版物の普及を熱心に指揮していた最初のリブレリスタ(書店で働く人)での一人でした。

テレサとその仲間たちの精神は、神のことばの黙想と使徒聖パウロへの信心のうちに、ますます堅固になっていきました。神のしもべカノニコ・キエザとアルベリオーネ神父は、彼女たちをしっかり見守り、黙想や講話や授業をもって、彼女たちの霊的・知的進歩を促していました。

カノニコ・キエザ神父
カノニコ・キエザ神父

すべては、穏やかに進んでいました。彼女たちは、カノニコ・キエザのカテキスタ・グループの聖書・神学の貴重な授業に出席していました。そして日曜日には教会のカテキスタとなり、また教会の入口で良書の普及に励んでいました。

テレサは次のように書いています。「私たちはシニョール・テオロゴに全幅の信頼を寄せていました。ただ神様のご意志と私たちの善だけを求める父親に導かれているような気がしていたので、私たちの心は安らかに憩うのでした。人々の批判は絶えませんでした。けれども私たちの平安は、テオロゴの一言で充分でした。彼はいつも私たちを喜んでいられるようにしてくれました」。

喜んで……。何はともあれ、彼女たちは、印刷学校の若人や神学生のように、専ら自分たち固有の仕事をすることのできる日を待ち焦がれていました。

カノニコ・キエザ(1874~1946)は、アルバのサン・ダミアノ教会主任司祭、著名な執筆家、すぐれた神学者、司牧者でした。彼は、アルベリオーネ神父の業を最初から勇敢に支持し、その事業に全面的に参与してくれました。


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