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第8回世界宗教者平和会議世界大会(3)

2006/11/10

3日目:8月27日(日)

この日は、8:45から「全体会議Ⅲ」が行われ、その後11:00から「研究部会Ⅱ」(非公開)が開かれました。午後はWCRPのネットワーク強化を目指した「ネットワーク構築会合」(開始後30分間のみ公開)が開かれたあと、参加者はバスで京都市内に出かけ、銀閣寺、金閣寺、清水寺、八坂神社、平安神宮、三十三間堂を訪問しました。

 

プレスに対しては、11:00からハタミ元大統領の記者会見が行われました。記者会見場には大勢のプレスが集まりました。

朝の祈り
朝の祈り

全体会議Ⅲ

「全体会議Ⅲ」のテーマは、「共にすべてのいのちを守るための平和構築」でした。クリントン米国大統領元主席補佐官だったトーマス・マクラーティ氏が議長を務め、全アフリカ教会会議」事務総長ヴメ・ダンダラ司教(南アフリカ共和国)、カトリック・リリースサービス会長(米国)ケネス・ハケット氏、中国仏教協会副会長・事務局長シュェ・チェン師(中華人民共和国)、そして日本から、WCRP軍縮・安全保障国際常設委員会委員長である杉谷義純師のお話がありました。

ステージ

 

■南アフリカ共和国から、ヴメ・ダンダーラ司教(全アフリカ教会会議事務総長)

全アフリカ教会会議には、39か国、168人が参加している。「対立」にいたる要素として「搾取」がある。アパルトヘイトに勝つことができたのは、地元レベルで共同体として活動してきたことによる。宗教共同体を過小評価してはいけない。ここに真の意味で和解委員会ができ、ここから和解の手をさしのべることが可能になった。魂の純化を、個人のレベル、集団のレベルでできなければならない。平和はわたしたちの追求する目的ではなく、わたしたちが歩くための道である。

■米国から、ケネス・ハケット氏(元クリントン大統領主席補佐官)

カトリック・リリースサービスは、10年前に平和構築に焦点をあてることに決めた。宗教指導者が心を一つに集めることができれば、どんな危機でも乗り越えていくことができる。

■中華人民共和国から、シュェ・チェン師(中国仏教協会副会長・事務局長)

シュェ・チェン師

 

グローバリゼーションという名のもとに行われている世界の搾取の中で、仏教を広げることをしている。世界のすべての偉大な宗教が持っている知恵、より多くの宗教者が集まり、宗教的な調和を作り上げることは、社会の調和につながっていく。人々の心の中に入り、人々の心に訴えなければならない。

中国では、1994年に多様な宗教(仏教、神道、イスラム教、カトリック、プロテスタント)が集まり、中国の世界宗教者平和会議(WCRP)が立ち上がった。1998年にWCRPは会議を持ち、世界平和のための“祈りの一週間”を行った。これに応えて30の州、5つの自治区の人々が祈った。それ以来、祈りの日を続けている。

 

世界平和は、自分たちの心に平和がなければ実現しないと思う。東洋の思想を世界に発表しようとしている。世界の宗教者が手を取り合い、自分の心を平和と安寧を保つことができる。

質疑応答から
 

WCRPは国連のように大きくなるのか?

WCRPは、この36年の間に、確実に大きくなっています。32カ国の代表ではじまった本会議は、現在は99か国になっています。互いの連帯の上に何かを生み出すことができます。正式代表者による会議と、研究部会から成り立っています。役割が重複する人も多くなり、今回の会議で、重複する人をどう処理するかも、会議で提案されていました。

記者会見

ムハンマド・ハタミ前大統領(イラン・イスラム共和国前大統領)を迎え、記者会見が行われました。最初、通訳の都合がつかず、予定の時間をだいぶ待ってはじまりました。ハタミ師自身も、席についたまま少し待っている状態になりました。ハタミ師はとても穏やかな方で、やさしいほほえみがステキでした。

通訳の到着を待つハタミ師
通訳の到着を待つハタミ師
 

質問:「9月に米国を訪問するということですが、ビザが取れて米国に行くようになったら、どのようなことを伝えたいですか?」

ハタミ:

皆様の善意に感謝します。我々は、平和のためにみなで働く以外に道はありません。西も東も暴力にさらされています。米国の文明には敬意を表します。米国の憲法には自由があるます。このようなエネルギーと能力は、全人類の安定のために使われるべきです。現在の米国のとっている政策は、長期的には解決に役立たないと思います。

わたしたちは原子力を必要としています。エネルギーを必要としています。原子力を、今使っているエネルギーに置き換えていく必要があります。

質問:平和になるために、ネットワークは必要ですか?

ハタミ:

非政府の社会が、平和の道を作るしかないと思います。そのためにネットワークは必要です。

質問:イランが求める核の平和利用とは?

ハタミ:

短い言葉で答えるのは困難です。イランが核を求めるとき、(1)イランは正当に原子力にアクセスする権利を持っている。(2)イランによる協力は自発的であり、強制的なものではない。(3)イランの核利用は、軍事的に使うものではない。

中東はたくさんの危機を抱えています。危機が起きれば、全ての人は傷つきます。イランの大きな役割は、イランの立場を尊重してもらうことにあります。

ハタミ師

質問:イランの元大統領として、国全体が破壊され、大量殺戮がおきるという可能性をどう思いますか?

ハタミ:

メディアの友人たちも、平和のことを考えていると思い、うれしく思っています。全ての宗教が手を携えてこの問題のために働かなくてはならないと思います。わたしは信仰していることを誇りに思っています。一人を殺すことは、すべての人を殺すことと同じです。ナチス軍は他の宗教の人も殺しました。このようなことがあってはならないと思います。

質問:日本の被爆者たちは、中東で核兵器が使われるのではないかと危機感を持っていますが……。

ハタミ:

わたしも危機感を持っています。中東で核兵器のない地域を作ろうと提案しています。現存する核兵器を排除する動きをしなくてはならないのです。いったん核兵器が乱用されたら、そこは日本に行われたことと同じになるでしょう。

深刻な危機は、米国により核兵器が乱用されることです。全世界の国が核廃絶に協力すること、特に広島・長崎の人々の声を聞くことは力となります。いつもメディアを尊敬しています。わたしの人生において尊敬すべき時期は、メディアで働いていたことがあるということです。革命の前、政権に反対して情報を警護することを助けていました。革命が起き、イラン最大の新聞社に入りました。文化情報局で10年間、働きました。

 

この会議では、ステージの上で、またはフロア席で、ユダヤ教の横にカトリックの司祭が並んで座っている姿が見られましたが、ある国、ある地域では、想像もできないことです。それが、この会議では、何の抵抗も無く実現していました。本来宗教は、他を排斥したり、他に抵抗するものではなく、共に協力しあえるものなのです。日本にいては、このことのすごさが分からないのですが、“WCRP”という環境がそれを実現することができるのです。WCRPの会議の時間の合間をぬって、紛争のある国の宗教者たちが出会いのときを持っていました。まだそれらは煮詰まっていなかったので、表面化することはありませんでしたが、その意味でも、今回の会議は重要な役割を果たしていたと言えます。

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