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SIGNISアジア会議“Many Voices - One Mission : Peace”in東京

2007/10/08

“SIGNIS”(シグニス、ラテン語で「しるし」という意味))という団体をご存じでしょうか? カトリック教会の中の団体で、放送、映画、視聴覚メディアなどの情報伝達に携わる人々、メディアによってイエスの福音を世に告げ知らせることを望む、カトリック信徒や聖職者・修道者が集まっています。日本では、“SIGNIS・JAPAN”「日本カトリックメディア協議会」といい、ベルギーのブリュッセルに本部を置く世界的規模の団体です。2年に一度、アジア会議が行われていますが、今年はこの会議が日本で開催されました。

SIGNISアジア会議 SIGNISアジア会議
晴佐久神父デザインの
“2007 SIGNISアジア会議”のマーク
会議の様子

9月24日~30日、東京・代々木にある「国立オリンピック記念青少年総合センター(YNC)」のセミナールームに、アジア各国から37名が集まりました。日本からは、出入りはありましたが18人が参加しました。日本の会員は、ホスト国として成田へ迎えに行ったり、会場でいろいろなお世話をしたり、歓迎パーティーを開いたり、日本の文化を体験してもらうミニツアーでいろいろなところにお連れしたりと、アジアから来たメンバーに、日本に来てよかったという体験をしてもらいたいと、おもてなしに心を込めました。

参加者は、カンボジアから1人、香港から3人、インドからは8人、インドネシアから2人、韓国から2人、マカオから3人、マレーシアから5人、フィリピンから6人、スリランカから2人、台湾から2人、タイから2人、SIGNIS・WORLDの会長、そしてNGO団体のCAMECO(ドイツ)から1名です。司祭、シスター、そして信徒です。カトリック教会がメディアセンターを持っている国がいくつかあります。そこでは、信徒が活躍しています。日本にはないので、ちょっとうらやましい活動です。

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記念撮影 女子パウロ会のシスターと
聖パウロ修道会のブラザー

24日は到着の日で、東京カテドラル聖マリア大聖堂で会議開催のミサがささげられ、その後、YNCで歓迎のレセプションが行われました。

25日、26日は総会で事務的な報告が行われた後、各国から活動報告が行われました。SIGNISは日本では小さな団体ですが、他の国では教会がメディアセンターやコミュニケーションセンターを持っていたりして、信徒を中心にした活発な活動が行われています。日本からの報告では、活動の2本の柱である「教会とインターネット」セミナーと「カトリック映画賞」授賞式と上映会の活動を取り上げ、また、日本の教会のホームページの状況を紹介しました。

25日の夕方は、乃木坂にある女子パウロ会の聖堂でミサが行われ、女子パウロ会の仕事場の見学も行われました。かつてSIGNIS・JAPAN(当時はOCIC)の会長だった女子パウロ会の故Sr.白井は、OCICアジア会議に毎回出席し、アジアのリーダー的存在としてメンバーの心に残っています。彼女はOCIC・WORLDの理事もつとめ、SIGNISアジアのメンバーの中には、今は亡きSr.白井の所属していた修道会を訪問したいと思っている方もいて、ミサはSr.白井を偲ぶものとなりました。

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Sr.白井の遺影を飾ってのミサ 平和について語る松浦司教(中央)

26日の夕方は、大阪大司教区補佐司教の松浦司教を招き、カトリック初台教会でミサをし、その後YNCに戻って平和についてのお話を伺いました。原爆投下のあった広島から話を始められた松浦司教は、日本には果たさなければならない特別の役割があることと、改憲の危機にある憲法9条には、福音的な内容があること、憲法9条を守るために、宗教を超えたエキュメニカルな活動が行われていることを話してくださいました。アジアの参加者からは、日本政府がイラクへ自衛隊を派遣したが、日本のカトリック教会はそれに対してどのような態度をとったか、また、SIGNIS・JAPANと日本の司教団との関係について質問がありました。

27日は四ッ谷のカトリック麹町教会マリア聖堂でミサを行った後、上智大学構内にあるイエズス会レジデント(S.J.ハウス)にある聖堂・クルトルハイムを見学した後、3つのコースに分かれて「ミニツアー」に出発しました。一つは日本庭園と隅田川を水上バスで下るコースで、もっとも多い参加者でした。歴史や博物館が好きだという3人の司祭は、上野公園にある国立博物館を見学しました。もう一つは、いわばエレクトロニックコースで、インターネットラジオを通して福音を伝えているFEBCを見学した後、秋葉原に行きました。どのコースも浅草で合流し、浅草寺と仲見世を見て歩きました。この地域には2件の100円ショップがあり、お買い物を楽しんだ人もいました。ツアーには英語のできるボランティアの方々に協力していただき、アジアの方々と日本人と交わりのときとなりました。最後は、全員一緒に天ぷら屋さんで夕食をいただきました。地下鉄に乗ったり、一緒に街を歩いたりしながら、アジアの参加者と親しく交わる一日となりました。

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博物館コースのメンバー
マリア聖堂で
さばみそ定食に挑戦する
タイの司祭(左)とインドの司祭

28日と29日の午前中は、3つの地域に分かれてワークショップが行われました。それぞれの国のメディア作品を見せあいながら、“平和”という切り口で、地域でどのように協力することができるかをさぐりました。作品を交換しあうだけでなく、具体的な行動を起こすことができるように考え、29日の全体会議で発表しました。

28日の午後は、YNCの小ホールでSIGNIS・JAPANの会長であり、映画監督である千葉茂樹氏からシネリテラシーの講義がありました。その後、一般の人々も来場して「カトリック映画賞」の授賞式と上映会が行われました。この授賞式と上映会は、例年でしたら、「世界広報の日」の前後である5月か6月に開催されているのですが、今年は、SIGNISアジアの人々にも参加してもらおうと、会議期間中に行われました。

今年の授賞作品は「博士の愛した数式」で、上映会の後、小泉監督のお話を伺いました。この作品は、アジアの人々にも深い印象を与えたようで、翌日は、映画についていろいろな感想が語られていました。「母親が、小学生の息子にも悪かったところをきちんと謝っていた、彼女は謝るだけで、攻めることはなかった。これは平和を作っていく大切な態度だ」と、映画は今回の会議のテーマである「平和」について、いろいろと示唆を与えてくれたようです。DVDを買って自分の国の人々にも見せたいという人が何人もいました。日本的な心が表現されている作品を理解してもらって、よかったと、日本のSIGNISメンバーはうれしくなりました。

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授賞説明する晴佐久神父 映画鑑賞するアジアのメンバーたち

29日の午後は、会議の評価・まとめが行われた後、閉会となりました。再び初台教会でミサを行い、YNCで「お別れパーティー」が行われました。すっかり仲良くなったアジアのメンバーと日本のメンバーは、記念写真をとって別れを惜しみました。日本のメンバーが歌のプレゼントをすると、次々と歌が披露され、楽しいパーティーとなりました。

SIGNIS・JAPANはメンバーも少なく、アジアの人々を迎える会議を開催することができるだろうか……と心配だったのですが、神は必要な人々を与えてくださり、また、ボランティアや同時通訳の方々の協力で無事終了することができました。ほとんどの参加者は30日に帰国されましたが、メンバーからはすぐ感謝のメールが寄せられ、日本のメンバーは肩の荷を下ろしました。

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地域会議で発表する
香港のメンバー
会議を終えて感謝の額を送られる
SIGNIS・JAPANの千葉会長(中央)

力を出し切ったアジア会議ですが、日本の中だけの活動でなく、アジアの仲間たちともネットワークを作って影響しあいながらメディアを通しての宣教を活発にしていきたいと思います。

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