homeこんなとこ行った!>エコプロダクツ2007 記念シンポジウム(2)

こんなとこ行った!

バックナンバー

エコプロダクツ2007 記念シンポジウム(2)

2008/01/26

「地球とわたしのためのエコスタイルフェ“第9回エコプロダクツ2007”」の中で開催された「記念シンポジウム」のパネル討論の様子をご紹介します。

エコプロダクツ2007

記念シンポジウム「1人、1日、1kgCO2削減をすべての人が取り組むために」 パネル討論

パネリスト:

山本良一氏 東京大学 生産技術研究所教授/エコプロダクツ2007実行委員会委員長

上山静一氏 イオン株式会社 グループ環境・社会貢献担当

野口健氏  アルピニスト

服部静枝氏 京都精華大学 自分学環境社会学科

枝廣さん

2007年は、環境問題に対していろいろのことがあった年でした。この「エコプロダクツ」の開催は、その締めくくりとなっていると言えるでしょう。100年後の人が、何℃高い温度の中で生活するのでしょうか。これを決めるのが、今の時代のわたしたちです。ものを考えるとき、少数の知っている人だけが関わるのではなく、ひとりでも多くの人が関わる必要があります。「チームマイナス6%運動」を展開していきましょう。


パネリストの方々が、それぞれの団体・企業で行っていることは何かを語っていただいた後、温暖化が進む中で、何をしていかなければならないかを尋ねました。

質問:何を変えるのでしょうか。何が問題で、何をするのでしょうか。

山本

地球の温暖化が加速しています。化石燃料の大量使用により、CO2、264億トンが放出されています。森林が少なくなり、CO2を消費できなくなっていて、まさに温暖化への地獄の1丁目にいる状態です。

服部

大手企業はそれなりの予算と人員を配してエコに取り組みをしていますが、中小企業の製造業は、経営資源のないのが原因です。

上山

サプライヤーとの連携をビジネスでもしていくようにしています。イオンは「地球温暖化防止(CO2削減など)に関する基本方針」を掲げて展開していますが、その方針の8項目目の、お客様とともに「イオンふるさとの森づくり」や「一村一森運動」を積極的に推進し、森林資源を守る世界的な動きの中で、紙の調達も考えています。

野口

日本にいると、温暖化にあっても身の危険を感じることはほとんどありません。しかし、実際は、世界は大変な状態になっています。2035年には、ヒマラヤの氷河がなくなるでしょう。氷河は溶け続けており、その水でできた湖が決壊する状態でたとても危険です。現場に行けば、温暖化の影響が現実のこととして危険を感じます。ヒマラヤが熱をもって溶けてくると、地球全体の問題になります。ヒマラヤの地元のネパール、ヨルダン、ブータンの国々は、あまりCO2を出していないので、彼らは被害者である。日本は加害者の立場です。

山本

地球が元の状態に戻るには、数世紀~1千年かかります。しかし、この危険性が、認識されていません。CO2の吸収量の2倍以上を放出しています。科学的認識を共有することが大切です。

枝廣

環境問題のニュースを見るとき、3つのカテゴリーに分けて見ています。
   D ドライビングホース 原因
   S ステーイ      状態 その結果どういう状態になるのか
   R リスポンス     対応 その問題に対して、どういう対応をしているか

上山

イオンの買い物行動をとおして、見えてきたものがあります。「買物袋持参運動」ですが、10年近くしてきましたが、ほとんど挫折でした。昨年見直しをして、レジ袋の有料化を法制化を展開しました。レジ袋からマイバックに変えることで、石油ドラム缶(200㍑)で約15,984本分の節約ができます。

レジ袋を有料化すると、20%の客が無料のところへ店を変えるという数字があります。しかし、今、ヨーロッパなみに、8%の人がレジ袋を断ってマイバックを持ってくるという状態になってきました。現在、11の店舗でレジ袋の配布を中止しています。

「レジ袋を買う人たちの1枚5円の収益金は、何に使っているのかという質問があります。半分はエコ運動をしている人たちへの援助に使い、半分は排出権を買って、無償で譲渡しています。またカーボンオフセットジャパン(CO-J)*に会員として参加しています。

* カーボンオフセットジャパン(CO-J):
            日本初の市民主導によるCO2のオフセット(打ち消す)事業

京都での展開ですが、ここでは京都市と市民団体、JACKの3つの団体から情報が入り、市民は納得し、市民行動をとっています。これは体験ずみのことですが、市民が分かれば、エコ対策は大きく展開していきます。

レジ袋は2~3回使って捨ててしまいます。16億8000枚を半分の8億4000万枚にするという希望をもっています。名古屋、柏、大阪でエコストアを持っています。これはCO2の大幅削減を目指した店をオープンし、ショッピングセンター全体から出るCO2を削減するものです。

新しい店を一店出店するのをやめても、CO2削減に努力します。それらは、すべて取引先するお客様との連携を保っています。

服部

中小企業の数と、そこに従事している人の数は多いのです。「環境効率」という指標を掲げることが大切です。一つひとつに、削減目標を立てていきます。10年、20年先に、ここまで減らすというように。それを計算して、今年は何%削減と決めるのがよいでしょう。中小企業では、専門部署や専任をあてることが難しいと思います。日常業務の中で、エコ問題と並列しなければならないでしょう。

地球システムにおけるティッピングポント*を、450ppmに安定させたいところです。そのためには、2℃下げる必要があります。毎年2%のエネルギー効率改善になります。これは覚悟の問題です。「1人1日1kg」なんて言わずに、日本人は年間平均10トンのCO2を出しているので、平均8トンにすると宣言すればいいのです。国民が一斉に行動を起こすこと、これがいかに重要かを、上山さんの話から分かりました。野口さんのような有名な人が呼びかけてくれたらいいのにと思います。

自治体の働きが大切です。教育では、幼稚園児は先生から聞いたことを家に帰ってすぐ行うので、幼稚園のときからエコ教育の必要です。

* ティッピングポント:ある一定の閾値を超えると、一気にいきわたる状態になるときの閾値。

 

今までも、いろいろと準備されてきたのですが、昨年、いよいよ時が満ちて……という感じで、一気にマイバッグブームになりましたね。イオンの上山氏のお話を聞きながら、試行錯誤の段階を経てきたのだなあと思いました。大手企業ががんばって動いてくれると主婦が動き、エコ運動も広がっていきます。企業の社会貢献の役割は大きいですね。最近はテレビのCMでも、こうすると何%の節電と、毎日のささやかなエコ生活への気配りの大切さが求められています。小さな努力を積み重ねて、かつてのいい環境を取りもどしたいですね。

▲ページのトップへ