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山本神父入門講座

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クリスマス編 第1回

「きよしこの夜」の調べでしあわせ探しに行こう

幼きイエス

あたりがクリスマスっぽくなってきた。クリスマスツリーが飾られ、サンタクロースが登場する。そして、クリスマス・キャロルが奏でられる。「きよしこの夜…すくいのみ子は、まぶねのなかに…」。

200年あまり前、ドイツの詩人が、聖書(ルカによる福音2章)によるキリストの誕生を情感込めて書いた「静かな夜、聖なる夜」に、ドイツ人グルーバーが曲をつけたのが、この歌である。各国のことばに訳され、世界中で歌い継がれ、2世紀あまり、毎年毎年、人びとの心にクリスマスを運んできた。


きよしこの夜。人がみな寝静まった夜中、羊の番をしていた羊飼いたちに主の天使が現れ、救い主の誕生を告げた。天使、神の使い。そう言えば、受胎告知をしたのも天使だった。マリアはその天使の言葉を受け入れ、神の子の母となった。

今度は真夜中、天使は、神が、人間の救いとしあわせのために救い主を遣わしたことを、羊飼いたちに告げた。神が救い主を遣わしても、人びとが迎え、受け入れなければ無駄である。だから神は天使を送ったのである。大祭司やローマ総督にではなく、素朴な羊飼いたちにである。

「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった」。救い主―人間の苦しみ、悩み、罪や悪を取り去り、幸福を与える、その救い主が生まれたと言うのである。

ユダヤ人は、いつか神が、ユダヤの独立と他国への支配を回復し、ダビデ王の全盛期のようにする、メシアという救い主を送ると信じていた。天使の声に、羊飼いは、その時が来たと思ったかもしれない。しかし、その救い主にはどうしたら会えるのか、どうしたら救いを得られるのだろうか。

天使は続けた。「あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである」。不思議なしるしだ。暗号なのか。乳飲み子が救い主? 赤ん坊に何ができるというのだ。飼い葉桶? 住む家も、揺りかごもない。住むところもない子が救い主なのか。もっともな疑問である。

しかし、羊飼いたちはそんなことは問題にせず、天使の導きに従った。「さあ、ベツレヘムヘ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と言って、急いで行き、飼い葉桶の中に寝かせてある乳飲み子を探しあてた。

羊飼いたちは、乳飲み子を探し、見つけたが、その場で救いやしあわせを得たのではなかった。この乳飲み子はインスタントに救いやしあわせを配る救い主、「霊験あらたかな幼子」ではなかった。この子は救い主として成長していく。「割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた」と聖書は書いている。

イエスはどんな救い主なのか。イエスから救いとしあわせをもらうにはどうすればよいのか。それをわかるには、イエスの成長、大人になったイエスが、何を教え、どのようにして人びとのために働いたのかを見守らねばならない。聖書、特に、福音書はそれを描いている。そして、キリスト教はそれをまとめて教えている。

救い、しあわせを考えるとき、私たちは、とかく、注文や条件をつけたがる。富、力、快楽、望みの実現。しかし、羊飼いたちのように、あれこれ言わずに、救い主のもとに行くことが大切なのだ。

何も言わない乳飲み子に、今、私を不幸にしていることを告げよう。赤ん坊の澄んだまなざしを受けて光と力を受けよう。そうすれば今年も私たちにクリスマスがやって来る。私たちの中にイエス・キリストが生まれるからである。

救い主・イエス・キリスト、神からの大きな贈り物、これがクリスマス・プレゼントの起こりである。
 この次のテーマは、クリスマスとプレゼントにしよう。

ルカによる福音書 2章 8~16節

 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。
 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。

 天使は言った。
 「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。
 この方こそ主メシアである。
 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。
 これがあなたがたへのしるしである。」

 すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
 「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。」

 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、
 「さあ、ベツレヘムヘ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」

 と話し合った。
 そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。

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